忘れられないぬくもりの中の恩人
小学一年生の春のことです。
母の勤め先の慰安旅行で、小さな遊園地に行った時のおはなしです。
同じ年頃の子どもたちと観覧車に乗りまして、
係の人がおらんまま動き出してしもて、
びっくりした私は、思わずドアの外へ身を乗り出してしまったんです。
その拍子に洋服が金具に引っかかり、体がふわっと宙に浮いてしまい、
観覧車は止まらず、私は吊られたまま、ゆっくり上へ運ばれていきました。
下からは、大人たちの慌ただしい声が聞こえてきました。
「止めてください」
「止まりません」
そんな声が、遠くで揺れているようでした。
その中で、ひとりのおじさんが鉄橋を登ってきてくれはり、
迷いのない動きで、まっすぐこちらへ向かってきます。
気がついたときには、おじさんの腕の中でした。
地面に降りてもしばらく震えは残っていましたが、
あのあたたかい手の感触だけは、今もよう覚えています。
あのとき、もし洋服が破れていたら。
もし、おじさんが登ってきてくれなんだら。
今の私はおらんのやと思います。
お名前も、どこにお住まいかもわかりません。
せやけど、あの日のことは、ずっと胸の奥にあります。
春になると、ときどき思い出すんです。
あの空の高さと、おじさんの手のぬくもりを。
どうか、どこかで穏やかに暮らしておられますように。
そっと、心の中で手を合わせています。
さて、ちょっと気持ちをきりかえましょう~😊
公園の風のなかで、
春がそっと肩に触れてきました。
緑のあいだから、
ロウバイの黄色が
小さな灯りみたいにゆれていて、
胸の奥がふっとあたたかくなる。
その少し向こうでは、
ピンクの梅が
ひかえめに、でも嬉しそうにほころんでいて、
季節が静かに歩き出す音がしました。



おはずかしいのですが、
チュリーップを描いたものが出てきましたので
ちょっと、のせてみました。

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